結論から書きます。
40代を過ぎて「太ももが細くなった」と感じたら、それはダイエット成功ではなく、寿命に関わるサインかもしれません。
下半身の筋肉量は、握力よりもむしろ血糖値・転倒・認知機能と深く結びついていることが、複数の研究で示唆されているのです。
「太ももが細い=老化加速」と言われる科学的根拠
筆者が48歳のとき、健康診断の問診で「足、細くなりました?」と医師にぼそっと言われたのを覚えています。
当時はむしろ嬉しかった。学生時代より太ももが2cm細くなって、ジーンズもゆるくなって、これは痩せたんだと。
ところが翌年、空腹時血糖が境界域に入りました。
調べていくうちに分かったのは、太ももが細くなったのは脂肪が落ちたからではなく、筋肉が落ちていたという身も蓋もない事実だったわけです。
全身の筋肉の約7割は下半身にある
人間の骨格筋のうち、大腿四頭筋・ハムストリングス・大殿筋といった下半身の大きな筋肉群が、全体の6〜7割を占めると言われています。
つまり太ももが細くなるということは、全身の筋肉量が減っているということとほぼ同義なのです。
そして筋肉は、ただ動くための組織ではありません。
食後の糖を真っ先に取り込む「血糖の貯蔵庫」でもあります。
コペンハーゲン心臓研究が示した「太もも周囲径と死亡率」
デンマークで行われた大規模追跡調査(コペンハーゲン心臓研究、約3,000人を12年追跡)では、太もも周囲径が60cm未満の人は、それ以上の人と比べて心血管疾患・総死亡リスクが高い傾向が示されたとされています。
これは体重やBMIとは独立した関連だった、というのが衝撃的なところです。
体重が標準でも、太ももが細い人はリスクが高い可能性がある。
ダイエットで体重だけ落とした中高年が、必ずしも健康とは言えない理由がここにあります。
東京都健康長寿医療センターの「サルコペニアと認知機能」
国内では、東京都健康長寿医療センター研究所などが、下肢筋力の低下と認知機能低下の関連を継続的に報告しています。
歩行速度・椅子立ち上がり時間といった下半身の指標は、その後の認知症発症リスクと関連が示唆されているのです。
太ももの筋肉は、脳とも繋がっている。
少なくともそう考えて損はないと、筆者は受け止めています。
40代の太ももが細くなる3つの理由
では、なぜ40代を過ぎると太ももは細くなるのか。
これは単なる老化、で片付けるには惜しい話です。
1. 加齢による速筋線維の選択的萎縮
下半身、特に大腿四歩筋には瞬発的な力を出す「速筋線維(タイプII)」が多く分布しています。
この速筋線維は、加齢とともに優先的に減りやすいと言われています。
遅筋線維(タイプI)はそこまで減らないため、見た目はそれほど変わらなくても、ジャンプ力・階段を駆け上がる力・転びそうになった時の踏ん張りが、年々弱っていく。
「太ももが細くなった」より先に、「最近、つまずきやすい」が来る人もいるはずです。
2. 動かない時間の蓄積(座りすぎ)
40-50代になると、現場仕事から管理職へ、外回りからデスクワークへ、生活様式が変わる人も多いでしょう。
1日8時間座りっぱなし、なんてざらにある話です。
太ももの筋肉は、立つ・歩く・しゃがむという日常動作で維持されます。
座っている時間が増えると、刺激が入らない時間が増え、ゆっくり萎縮していく。
3. タンパク質不足とテストステロン低下
40代以降の男性はテストステロンが緩やかに下がり、女性は更年期前後でエストロゲンが大きく変動します。
どちらのホルモンも筋肉の維持に関わっており、同じ生活をしていても若い頃より筋肉がつきにくく・落ちやすくなる傾向があると言われています。
ここに「タンパク質不足」が重なると、筋肉の崩れ方は加速します。
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、高齢者のフレイル予防のため、体重1kgあたり1.0〜1.2gのタンパク質摂取が推奨される方向性が示されています。
体重70kgなら1日70〜85g。
これ、普通の食事だけで取ろうとすると、意外ときついのです。
「とりあえず歩いてます」では足りない理由
ここで多くの40-50代がハマるのが、「ウォーキングだけで運動した気になる」問題です。
ウォーキングは素晴らしい有酸素運動ですし、心血管リスクの低下とも関連が示唆されています(e-ヘルスネット(運動・身体活動)でも歩行や中強度運動の意義が解説されています)。
ただ、太ももの速筋線維を維持・増やす刺激としては、強度が足りない。
正直に書くと、筆者も最初の1年はウォーキングだけでなんとかなると思っていました。
ならなかったです。
太ももの周径は変わらず、健康診断の数値もたいして変わらず。
変わったのは、スクワットを週2回入れてからでした。
下半身トレに何を選ぶか:比較表
| 方法 | 強度 | 関節への負担 | こんな人向け |
|---|---|---|---|
| 自重スクワット | ★★☆ | 低〜中 | 運動再開組・膝に不安あり |
| ブルガリアンスクワット | ★★★ | 中 | 左右差を直したい・自宅派 |
| ヒップヒンジ系(ルーマニアンデッドリフト) | ★★★ | 低(腰除く) | お尻・もも裏を鍛えたい |
| レッグプレス(ジム) | ★★★★ | 低 | 関節弱め・しっかり負荷 |
| バーベルスクワット(ジム) | ★★★★★ | 中〜高 | 本気で太もも肥大狙い |
大事なのは、自宅派は自重で十分始められるということ、そしていきなりバーベルにいかなくていいということです。
自宅でできる「太もも復活メニュー」週2-3回
筆者が48歳から続けている、自宅メニューを紹介します。
所要時間20分弱。
基本3種目
- 椅子スクワット 10回×3セット:椅子に軽くお尻をつける所まで下げて立つ。膝痛がある人はここから
- ブルガリアンスクワット 左右各8回×2セット:後ろ脚を椅子に乗せて片脚スクワット。左右差が分かる
- ヒップリフト 15回×3セット:仰向けでお尻を持ち上げる。ハム・お尻に効く
慣れてきたら、ペットボトル2L×2本を抱えて負荷を足してください。
ジムに行ける人は、レッグプレスとルーマニアンデッドリフトを中心に組むのが、関節への負担と効果のバランスが良いと感じています。
筋肉を「作る材料」を確保する:タンパク質と栄養
運動だけでは、正直なところ筋肉は戻りにくいです。
40代以降は、若い頃より「材料(タンパク質)」を意識的に入れる必要があります。
朝食は和食でも卵2個+納豆+鮭、くらいまで増やしておきたいところ。
それでも足りない日が出てきます。
筆者がここ2年使い続けているのが、プロテインを朝の1杯と運動後に追加する方法です。
味とコスパで選んだのは海外大手のもので、1食あたりのタンパク質量と価格バランスがやはり強い。
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